五十肩の治療で最も大切なのは「順番」です

2026年02月12日

病態と解剖学から考える肩関節周囲炎

「そのうち動くようになるだろう」
「痛いけど動かした方が早く治る」

五十肩では、このように考えてしまう方が少なくありません。
しかし実際には、肩の状態を理解せずに運動や施術を進めると、かえって症状を長引かせてしまうことがあります。

五十肩の治療で重要なのは、何をするかよりも、いつ何をするかという順番です。

五十肩とはどのような状態か

五十肩は病名というよりも総称で、主に肩関節周囲の炎症と拘縮が関係しています。

特に重要なのが関節包です。
関節包は肩関節を包んでいる袋状の組織で、この部分に炎症が起こると痛みが生じ、その後に組織が硬くなることで動きが制限されます。

その結果として、次のような特徴的な症状が現れます。

・外旋が硬くなる
・結帯動作ができなくなる
・夜間にズキズキした痛みが出る

肩関節の解剖学的な特徴

肩関節は人体で最も可動域が大きい関節です。
その反面、骨による安定性が低く、軟部組織に依存した構造をしています。

関節の安定に関わる主な組織は次の通りです。

・関節包
・腱板
・滑液包
・肩甲骨周囲の筋群

五十肩ではこれらが複合的に影響を受けるため、単純に筋肉の問題として扱うことはできません。

五十肩には段階がある

五十肩は一般的に次のような経過をたどります。

・炎症期
・拘縮期
・回復期

この段階ごとに適切な対応は大きく異なります。

炎症期に最も重要なこと

炎症期は安静時にも痛みがあり、夜間痛が強いのが特徴です。
この時期は関節包や滑膜に炎症が起きているため、次のような刺激は炎症を悪化させる可能性があります。

・強いストレッチ
・無理な可動域訓練
・痛みを我慢した反復運動

まず優先されるべきなのは、炎症を落ち着かせることです。

拘縮期の対応

痛みが落ち着いてくると、次に問題となるのが関節の硬さです。
関節包が線維化し、肩の動きが著しく制限されます。

この段階では次のようなアプローチが重要になります。

・関節包の伸張
・関節モビライゼーション
・肩甲帯の動きの改善

炎症期と同じ対応を続けてしまうと回復が遅れることがあります。

回復期に必要なこと

可動域が戻り始めた段階では、筋機能の再教育が重要になります。

特に重要なのは次のポイントです。

・腱板の協調性の回復
・肩甲骨の動きの改善
・肩甲胸郭リズムの再構築

ここまで来て初めて、機能回復の段階に入ります。

なぜ治療の順番が重要なのか

五十肩では炎症から拘縮、そして回復という生体反応の流れがあります。
この流れを無視してしまうと、次のような問題が起こります。

・炎症が長引く
・拘縮が強くなる
・回復までの期間が延びる

痛みの段階を見極めずにとにかく動かすことが、必ずしも正しいとは限りません。

当院が重視していること

当院ではまず現在の段階を評価します。
確認する主なポイントは次の通りです。

・炎症の程度
・関節包の硬さ
・腱板の状態
・インピンジメントの有無
・神経症状の有無

これらを踏まえたうえで、刺激の強さや内容を段階的に調整します。

五十肩の治療では、適切な順序で介入することが回復を大きく左右すると考えています。

まとめ

五十肩は時間が経てば自然に改善する場合もありますが、対応を誤ると長期化しやすい疾患です。

次の点を意識することが大切です。

・痛みが強い時期に無理をしていないか
・動かすべき時期に適切な刺激を入れているか

肩の動きが悪くなってきたと感じた場合は、まず現在の状態を正しく把握することが回復への近道になります。

ugook整骨院 院長 佐々木

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